『ヨーガの樹(The Tree of Yoga)』B.K.S.アイアンガー著より…5

B.K.S.アイアンガーの『ヨガの樹』を読み進めるうちに、ヨガの本質が単なるポーズの習得ではなく、心と体の深いつながりを育むものだということを改めて実感しました。本書は、一度読んで終わるものではなく、実践を重ねるごとに新たな気づきをもたらしてくれる本だと感じます。

今回は、この本を読んで「これから実践していこうと思うこと」と、「繰り返し読んで再発見し続けるだろう」と思ったことについて書いていきます。

① これから実践していこうと思うこと

1. ヨガの「根」を大切にする – ヤマ・ニヤマを日常生活で意識する

ヨガの樹において、ヤマ(禁戒)とニヤマ(勧戒)は根の部分にあたります。本書を読むまで、ヤマ・ニヤマの実践については「ヨガの哲学」として理解しているつもりでしたが、それを日常の行動レベルで意識できていなかったことに気づきました。

• アヒムサ(非暴力) – 自分に対しても優しくする。無理な練習をせず、体の声を聞く。

• サントーシャ(知足) – 「もっと上手くなりたい」と思う気持ちと、「今の状態を受け入れる」気持ちのバランスを取る。

• スワディヤーヤ(学習) – ヨガの哲学や身体の使い方を、継続して学び続ける。

これからは、ヤマ・ニヤマを単なる知識としてではなく、日々の選択の中で実践できるように意識していきたいと思います。

2. 努力しすぎず、でも怠らない – アーサナの練習の質を高める

『ヨガの樹』では、ヨガの成長には「努力・気づき・喜び」のプロセスがあると書かれています。特に、「努力」の段階で力みすぎることが、ヨガの本質から遠ざかることにつながると感じました。また同時に心地よさだけを追求してもそれもヨガの本質からは遠ざかってしまうとも感じました。

• ポーズを「完成させる」ことにとらわれず、「今どんな感覚があるか」を観察する。

• 身体の各部分がどう働いているか、どこに力を入れ、どこをリラックスさせるべきかを丁寧に探る。

• 練習を「義務」ではなく、「探求」として楽しむ。

努力しすぎて緊張したり、逆に怠けてしまったりせず、適切な努力と気づきを持ち続けることを意識していきます。

3. 呼吸を通じて、体と心をつなぐ – プラーナーヤーマを習慣にする

本書を読んで、呼吸のコントロール(プラーナーヤーマ)が、ヨガの成長において重要な要素であることを再認識しました。これまでは、アーサナに意識が向きすぎていて、呼吸の練習をおろそかにしていた部分がありました。

• ヨガの練習前後に、短い時間でも呼吸法を取り入れる。

• アーサナを取るときに、呼吸の質を意識し、自然に深まるように調整する。

• 日常の中でも、ストレスを感じたときに呼吸に意識を向け、心を落ち着かせる。

呼吸は、体と心をつなぐ架け橋。この意識を持つことで、ヨガの練習だけでなく、日々の過ごし方にも変化が生まれるはずですね。

② これからも繰り返し読んで、再発見し続けること

この本を読み終えた今、強く感じるのは「一度読んだだけでは終わらない」ということです。ヨガの練習を続ける中で、何度も戻ってきて、新しい気づきを得られる本だと思います。

1. 自分の成長とともに、理解が深まる

ヨガの練習を続けると、最初は気づかなかったことが見えてくるものです。例えば、最初に読んだときにはピンとこなかった「プラティヤハーラ(感覚の制御)」の重要性も、練習を重ねるうちに少しずつ理解できるようになりました。

おそらく、今後もヨガの実践が深まるにつれて、「この本のこの部分は、こういうことだったのか!」と再発見する瞬間があるでしょう。そのたびに、また読み返したくなる本です。

2. ヨガの目的を見失わないために

アーサナの上達を目指していると、つい「もっと難しいポーズを取れるようになりたい」と思ってしまうことがあります。でも、『ヨガの樹』に立ち返ると、ヨガの目的は単に柔軟性や筋力を高めることではなく、心と体の調和にあることを思い出せます。

この本を繰り返し読むことで、「何のためにヨガをしているのか?」という問いに対する答えを、常にアップデートしていけるようにしたいと思います。

3. 自分のペースで進むことを忘れないために

本書では、ヨガの成長を「樹」に例えています。樹が育つには時間がかかるように、ヨガの実践もすぐに結果が出るものではありません。

焦らず、比べず、自分のペースで続けることが大切。もし「うまくできない」と感じることがあったら、この本に戻ってきて、ヨガの成長が少しずつ進むものだということを思い出したいと思います。

まとめ

• これから実践していきたいこと

• ヤマ・ニヤマを日常生活に取り入れる。

• ポーズの完成度ではなく、感覚を大切にする。

• 呼吸の質を高め、ヨガの中でも日常生活でも意識する。

• 繰り返し読んで再発見し続けること

• 自分の成長とともに、新しい気づきを得る。

• ヨガの本来の目的を忘れないために読み返す。

• 焦らず、自分のペースで進むことを思い出す。

『ヨガの樹』は、私のヨガの実践に寄り添いながら、何度も読み返したくなる本になりました。これからも、この本とともにヨガを深めていきたいと思います。

『ヨーガの樹(The Tree of Yoga)』B.K.S.アイアンガー著より…4

『ヨガの樹』から学ぶ実践のヒント

はじめに

B.K.S.アイアンガーの『ヨガの樹』では、ヨガを一本の樹に例え、その成長の過程を根・幹・枝・葉・花・実という構造で説明しています。これまでの記事では、この比喩の意味やヨガの成長プロセスについて詳しく見てきました。

では、実際のヨガの練習において、私たちはこの知識をどのように活かせるのでしょうか?本記事では、『ヨガの樹』から学べる実践のヒントを紹介し、日々の練習やライフスタイルの中でどのようにヨガを深めていくかについて考えていきます。

① 根を育てる – ヨガの基盤を整える(ヤマ・ニヤマ)

日常生活の中での実践ポイント

ヤマ(禁戒)とニヤマ(勧戒)は、ヨガの根となる倫理的な指針です。これらを意識することで、日々のヨガの実践がより深く、安定したものになります。

• アヒムサ(非暴力) → 自分に対しても優しくする。ポーズがうまくできないとき、自分を責めずに受け入れる。

• サティヤ(正直) → ヨガの練習で無理をしない。自分の身体の状態を正直に観察する。

• サントーシャ(知足) → できる範囲の練習に満足し、比較せず、自分のペースを大切にする。

ヤマ・ニヤマを実生活に取り入れることで、ヨガは単なるエクササイズではなく、ライフスタイル全体へと広がっていきます。

② 幹を強くする – アーサナ(ポーズ)の意識を深める

身体の動きだけでなく、心の状態を観察する

アーサナは、単なる体のポーズではなく、心と体をつなぐためのツールです。ポーズを取るとき、以下のようなポイントを意識すると、より深い気づきを得られます。

• 努力とリラックスのバランスを取る → 余計な力みをなくし、無理なく心地よくポーズを取る。

• 呼吸と動きを連動させる → アーサナを呼吸とともに行うことで、体と心の統一感を高める。

• どこに意識を向けるべきか?を考える → ポーズの中で、どの部分が活性化し、どこがリラックスしているかを観察する。

アーサナを単なる動作ではなく、「体の使い方と心の状態を観察する場」として捉えることで、ヨガの質が大きく変わります。

③ 枝を広げる – 呼吸を意識する(プラーナーヤーマ)

呼吸を意識することがヨガの質を高める

ヨガにおいて、呼吸は「生命エネルギー(プラーナ)」を循環させる重要な役割を持ちます。呼吸を意識することで、ポーズの安定感が増し、心の静けさを得ることができます。

• 日常の中でも呼吸を意識する → ヨガの時間だけでなく、日々の生活の中で呼吸を意識的におこなう。

• どんな呼吸をしているか?→ ポーズを取るとき、どんなボリュームの呼吸をしているか感じる。

• ゆっくりとした呼吸を保つ → ポーズの難易度が上がっても、呼吸を止めずにスムーズに行うことを意識する。

まとめ

1から3を心がけ実践していくことで、もっと先の感覚への進化が進んでいけたらと思います。

日常生活の中で、小さな実践を積み重ねることで、ヨガはより豊かなものになるように。

次回は、『ヨガの樹』を読んでのまとめを紹介します。

『ヨーガの樹(The Tree of Yoga)』B.K.S.アイアンガー著より…3

『ヨガの樹』の比喩的表現– ヨガの成長プロセス

はじめに

ヨガを続けていると、「今、自分のヨガはどこに向かっているのだろう?」と考えることがあります。初心者の頃はポーズを取ることに一生懸命になりがちですが、練習を重ねるうちに、ヨガにはもっと深い側面があることに気づくようになります。

B.K.S.アイアンガーの『ヨガの樹』では、ヨガの成長プロセスを一本の樹に例えています。この比喩はとても分かりやすく、ヨガの各要素がどのように関連し、成長していくのかを理解するのに役立ちます。

今回は、「ヨガの樹」という考え方をもとに、ヨガがどのように成長し、どのように深まっていくのかについてお話しします。

「ヨガの樹」の構造

アイアンガーはヨガの成長を一本の樹(Tree)として表現しました。これは、ヨガの実践がどのように発展し、最終的にどこへ向かうのかを示しています。

🌱 根(ヤマ・ニヤマ) – ヨガの基盤となる倫理的な指針

ヨガの樹の「根」にあたるのは、ヤマ(禁戒)とニヤマ(勧戒)です。

これらは、ヨガの精神的な基盤を支える重要な教えであり、しっかりと根付かせることで、ヨガの成長が安定します。

• ヤマ(禁戒) – 他者との関係性を整える倫理(社会的)

1. アヒムサ(非暴力) – 自分や他人に優しくする

2. サティヤ(正直) – 正直に生きる

3. アスティヤ(不盗) – 必要以上に求めない

4. ブラフマチャリヤ(禁欲) – 執着を減らす

5. アパリグラハ(不貪) – 物質的な執着を手放す

• ニヤマ(勧戒) – 自分自身との関係性を整える習慣(個人的)

1. シャウチャ(清浄) – 身体と心を清潔に保つ

2. サントーシャ(知足) – ありのままを受け入れる

3. タパス(精進) – 継続的な努力をする

4. スワディヤーヤ(学習) – 自己を知り、学び続ける

5. イシュワラ・プラニダーナ(信愛) – 自然の流れを信じる

これらの根がしっかりと育つことで、ヨガの実践はより安定し、深みを増していきます。

🌿 幹(アーサナ) – ヨガの身体的な実践

樹の「幹」にあたるのが、私たちが日々練習しているアーサナ(ポーズ)です。

• 幹は樹の中心となり、根(ヤマ・ニヤマ)から栄養を吸収し、枝や葉へとエネルギーを運びます。

• アーサナを通じて体を整えることで、心の安定も得られ、ヨガの成長が進んでいきます。

ただし、アーサナだけに集中しすぎると、バランスが崩れます。根(ヤマ・ニヤマ)がしっかりしていなければ、幹(アーサナ)は十分に成長しません。

🍃 枝(プラーナーヤーマ) – 呼吸のコントロール

ヨガの樹が成長すると、枝が広がり始めます。この枝にあたるのがプラーナーヤーマ(呼吸法)です。

• 呼吸は、生命エネルギー(プラーナ)を体に巡らせる重要な要素。

• アーサナと呼吸を連動させることで、心の安定が深まる。

• プラーナーヤーマを実践することで、体内のエネルギーの流れを整え、より深い瞑想へと進む準備ができる。

呼吸は私たちの心の状態を映し出す鏡のようなものです。落ち着いた呼吸を意識することで、心の揺らぎも抑えられます。

🍂 葉(プラティヤハーラ) – 感覚の制御

葉は太陽の光を受けて、エネルギーを作り出します。同じように、プラティヤハーラ(感覚の制御)は、私たちの意識を外の刺激から内側へ向ける役割を果たします。

• 普段の生活では、視覚・聴覚・触覚などの感覚に振り回されやすい。

• プラティヤハーラを実践することで、外の情報に影響されず、心を落ち着かせることができる。

感覚を制御することで、より深い集中と瞑想に入る準備が整います。

🌸 花(ディヤーナ) – 瞑想

花は樹の成長の象徴であり、美しさを表します。

ヨガにおいて、瞑想(ディヤーナ)は、心が静まり、深い集中状態に入ることを意味します。

• ここまでの段階(根・幹・枝・葉)が整うことで、自然に瞑想へと導かれる。

• 瞑想を通じて、自分自身の内側にある静けさとつながる。

瞑想は単なる「座る行為」ではなく、日々のヨガの積み重ねの結果として生まれるものです。

🍎 実(サマーディ) – ヨガの最終的な目的

最後に、樹が完全に成熟し、果実が実る段階がサマーディ(悟り)です。

• これは、個人の意識が完全に調和し、心と体、魂が一体となる状態。

• 日常生活の中でも「平穏な心」を持ち続けることができるようになる。

ただし、サマーディはゴールではなく、ヨガの樹は常に成長し続けるものです。

まとめ

• 根(ヤマ・ニヤマ) → 倫理的な基盤を整える

• 幹(アーサナ) → 身体を鍛え、整える

• 枝(プラーナーヤーマ) → 呼吸をコントロールし、エネルギーを高める

• 葉(プラティヤハーラ) → 感覚を制御し、内側へ意識を向ける

• 花(ディヤーナ) → 瞑想を深め、心を静める

• 実(サマーディ) → 最終的な調和と悟り

このように、ヨガは一つの要素だけでなく、全体がバランスよく成長することで、深い気づきへとつながります。

次回は、『ヨガの樹』から学ぶ実践のヒントについてお話ししていきます!

「ヨーガの樹」Tree of yoga:B.K.S.アイアンガー著…2

努力・気づき・喜び〜ヨガを深める3ステップ

はじめに

ヨガの練習を続けていると、ふと「どうして私はこんなに頑張っているのだろう?」と感じる瞬間があります。ポーズが思うように取れなかったり、集中できなかったりすると、つい焦りや迷いが生まれたりもします。

B.K.S.アイアンガーは『ヨーガの樹』の中で、ヨガの成長には 「努力(Effort)・気づき(Awareness)・喜び(Joy)」 の3つの段階があると述べています。これは、単にヨガのポーズだけでなく、人生そのものにも通じる考え方です。

今回は、この3つのステップについて詳しく掘り下げながら、どのように実践に活かせるのかを考えてみます。

① 努力(Effort) – ヨガの最初の一歩

ヨガの練習を始めたばかりの頃は、体が思うように動かず、「とにかく頑張らなければ」と感じることが多いものです。

努力が必要な理由

• 体の柔軟性や筋力が十分でない場合、最初はポーズを取るだけでも大きな努力が必要になる。

• 正しいアライメントを意識しながら練習するには、集中力と根気が求められる。

• ヨガの基本的な哲学や呼吸法を学ぶ過程も、最初は戸惑うことがある。

この時期は「頑張ること」が必要ですが、無理をしすぎると逆効果になる こともあります。アイアンガーは、「努力とは、単に力を入れることではなく、適切な方向にエネルギーを向けること」と述べています。

適切な努力とは?

• 「がむしゃら」ではなく「意識的な努力」 をする。

• 身体の一部分に頼りすぎず、全身のバランスを考える。

• 呼吸を乱さず、落ち着いてポーズに入るようにする。

• 「どこに力を入れるべきか、どこを緩めるべきか」 を考えながら動く。

努力はヨガの基盤ですが、それだけでは十分ではありません。努力の中から「気づき」を得ることが、次のステップへ進む鍵になります。

② 気づき(Awareness) – 体と心を観察する

努力を続けていると、次第に「今のポーズでどの筋肉が使われているのか?」「どの部分が無理をしているのか?」と、内側に意識が向くようになります。これが「気づき(Awareness)」の段階です。

気づきが生まれる瞬間

• 以前は力任せにやっていたポーズが、「少し力を抜いた方が安定する」などと気づいたとき。

• 呼吸を意識することで、ポーズがより深まることを実感したとき。

• 体の動きだけでなく、心の状態にも目を向けられるようになったとき。

気づきを深めるためのポイント

• 身体のどこに余計な力が入っているのかを観察する。

→ 例えば、立位のポーズで肩に力が入っていないか?脚の力を均等に使えているか?

• 呼吸と動きを連動させる。

→ 呼吸が浅くなっていると感じたら、ポーズを見直してみる。

• ポーズの完成度ではなく、内面的な変化に目を向ける。

→ 形よりも、「このポーズをしていると、どんな感覚があるか?」を大切にする。

気づきが深まると、ヨガは単なる身体的なトレーニングではなく、心を整えるものへと変わっていきます。

③ 喜び(Joy) – ヨガが心地よくなる瞬間

努力を重ね、気づきが深まると、ふとした瞬間に「ヨガって気持ちいいな」と思うことが増えてきます。これが**「喜び(Joy)」**の段階です。

ヨガの喜びとは?

• ポーズがスムーズに取れたときの達成感

→ 以前は難しかったポーズが、自然にできるようになる瞬間。

• 体と心が一体となる感覚

→ 呼吸が深まり、余分な力が抜け、ポーズの中で安定している感覚。

• 努力が苦しくなくなり、練習そのものが楽しくなる

→ 「ヨガをやらなきゃ」ではなく、「ヨガをしたい」と思えるようになる。

喜びを深めるために大切なこと

• 努力しすぎず、リラックスすることを意識する。

• ポーズの完成を目指すのではなく、そのプロセスを楽しむ。

• 毎回の練習で、小さな変化を喜ぶ。

→ 「今日は少し呼吸が深まった」「昨日より安定感が増した」など。

喜びは、努力と気づきの積み重ねによって自然と生まれてくるものです。焦らず、自分のペースでヨガを続けることが大切です。

3つのステップを実践に活かす

この 「努力 → 気づき → 喜び」 の流れは、ヨガだけでなく、日常生活にも応用できます。

例えば、仕事や勉強でも最初は「努力」が必要ですが、続けていくうちに「気づき」が生まれ、やがて「喜び」へと変わります。大切なのは、無理をしすぎず、自分の成長を観察しながら進むこと です。

まとめ

• 努力(Effort) → 無理のない適切な努力をする。

• 気づき(Awareness) → 身体や心の変化を観察し、調整する。

• 喜び(Joy) → 練習そのものが心地よく、楽しくなる。

この3つを意識することで、ヨガの練習がより深まり、単なる運動ではなく、心身の統合へとつながるものになります。

次回は、『ヨガの樹』の比喩をさらに詳しく掘り下げ、「ヨガの成長プロセス」についてお話ししていきます!

『ヨーガの樹(The Tree of Yoga)』B.K.S.アイアンガー著より…1

『ヨーガの樹』とは? – B.K.S.アイアンガーの哲学に触れる

はじめに

ヨガを実践していると、次第に「ヨガとは単なるエクササイズではなく、もっと深いものなのでは?」と感じることがあるかもしれません。ポーズの完成だけでなく、呼吸や意識、内面的な変化が大切だと気づく瞬間が増えていくからです。

そんな中、B.K.S.アイアンガー著 『ヨガの樹(The Tree of Yoga)』 を再読し、ヨガの本質について改めて考える機会を得ました。この本では、ヨガの全体像を「樹」に例えながら、その奥深さを解説 しています。

今回は、この本が伝えようとしているヨガの哲学について紹介し、私自身の気づきをシェアしたいと思います。

『ヨガの樹』とは?

B.K.S.アイアンガーとは

本書の著者である B.K.S.アイアンガー(B.K.S. Iyengar) は、現代ヨガを語る上で欠かせない人物の一人です。アイアンガーヨガの創始者として、正確なアライメント(姿勢の整え方)や補助道具(プロップス)の活用を広め、世界中のヨガ実践者に影響を与えました。

彼の考え方は、「ヨガは体だけでなく、心や魂をも育むものである」という信念に基づいています。本書では、ヨガの全体像を 一本の樹 に例え、各要素がどのように結びついているのかを説明しています。

ヨガを「樹」として考える

アイアンガーは、ヨガを以下のような構造で説明しています。

• 根(ヤマ・ニヤマ) → 倫理的な基盤

• 幹(アーサナ) → 身体的な実践

• 枝(プラーナーヤーマ) → 呼吸のコントロール

• 葉(プラティヤハーラ) → 感覚の制御

• 花(ディヤーナ) → 瞑想

• 実(サマーディ) → 悟り

この比喩はとても分かりやすく、ヨガの成長プロセスを示しています。特に印象的だったのは、根(ヤマ・ニヤマ)がしっかりしていなければ、ヨガの成長も不安定になる という考え方です。

とかくアーサナ(ポーズ)がヨガの中心として認識されがちですが、実際には「倫理的な生き方」や「呼吸のコントロール」など、さまざまな要素が組み合わさることで、ヨガは本来の姿を保つのです。

「ヨガは身体、心、魂の統合である」

本書では、「ヨガは身体(Body)、心(Mind)、魂(Soul)の統合である」 という考え方が繰り返し語られています。

1. 身体(Body)

アーサナ(ポーズ)を通じて身体を整えることは、ヨガの最も基本的な要素です。しかし、アイアンガーは単なるフィットネスではなく、身体を動かすことで心を静め、より深い意識に入るための道具としてアーサナを捉えています。

2. 心(Mind)

ポーズを取る際、集中力や観察力が必要になります。ただ形を真似るのではなく、どこに力を入れるべきか、どこを緩めるべきかを 「感じ取る」 ことが求められます。これにより、心は内面へと向かい、落ち着きを取り戻すのです。

3. 魂(Soul)

ヨガの最終的な目的は、単なる体の動きではなく、自己の本質に触れることにあります。ポーズを通じて気づきを深め、呼吸を通じて心を整え、瞑想を通じて内面の静けさを見つける。このプロセスを経ることで、魂(本質)とつながることができるとアイアンガーは説いています。

本書を読んで気づいたこと

本書を読んで、私自身のヨガの実践に対する考え方を再考しました。

1. ヨガはポーズだけではない

日々アーサナの練習をしていると、「より深い前屈をしたい」「もっとバランスを取りたい」「より難しいアサナもしたい」といった技術的な目標に意識が向きがちです。しかし、それだけではヨガの本質を見失ってしまう可能性があります。

アイアンガー師が強調するように、ポーズの目的は「完成させること」ではなく、「そこに至るプロセス」である という視点を持つことが大切だということです。

2. 生活の中でもヨガを実践する

ヨガの実践はマットの上だけにとどまりません。ヤマ(禁戒)・ニヤマ(勧戒)といった倫理的な指針を日常生活に取り入れることで、ヨガの根がしっかりと張られ、心身のバランスが整います。

例えば、

• アヒムサ(非暴力) → 自分自身に優しくする、ネガティブな思考を手放す

• サティヤ(正直) → 自分に正直でいる、他人と比較しない

• サントーシャ(知足) → 今の自分に満足し、感謝の気持ちを持つ

こうした小さな意識の変化が、ヨガの実践をより深いものにしてくれると感じました。

まとめ

B.K.S.アイアンガーの 『ヨガの樹』 は、単なるヨガの技術書ではなく、「ヨガとは何か?」を深く探求するための哲学書 です。

• ヨガは「一本の樹」のように成長する

• 身体、心、魂の統合が重要

• ポーズだけでなく、生活の中でもヨガを実践することが大切

これらの学びを活かしながら、これからのヨガの練習や指導に取り組んでいけたらと思います。

次回の記事では、本書で語られる 「努力・気づき・喜び(Effort, Awareness, and Joy)」 について、さらに詳しく掘り下げていきます!

blog:ヨガスートラとは何ですか?

ヨガの哲学って何となく聞いたことがありますか?興味がありましたら簡単に紹介しますので読んで見てくださいね♪

ヨガスートラ

ヨガスートラ(Yoga Sutras)は、古代インドの哲学者であるパタンジャリ(Patanjali)によって書かれた、ヨガの哲学的なテキストです。

ヨガスートラは、紀元前2世紀から4世紀ごろに成立したとされており、ヨガの実践と哲学に関する基本的な原則や指針を提供しています。

ヨガスートラは、サンスクリット語で書かれ、非常に簡潔な形式で記述されています。本文は196節から成り立ち、4つの章(パーダ)に分かれています。これらの章は次のようになっています。

サマーディ・パーダ (Samadhi Pada)(51節)

この章では、ヨガの目的である統一意識(サマーディ)について説明され、ヨガの本質と目的が紹介されます。ヨガの実践における基本的な概念として、集中力、忍耐、意志力などが議論されます。

サーダナ・パーダ (Sadhana Pada)(55節)

この章では、ヨガの実践方法に焦点を当てます。具体的な実践方法であるアシュタンガ・ヨガ(8つの階層化されたヨガの実践)が紹介され、身体的な修練から精神的な集中力への段階的な進化が説明されます。アーサナ、プラーナヤーマ、ディヤーナなどが含まれます。

ヴィブーティ・パーダ (Vibhuti Pada)(55節)

この章では、ヨガの実践によって達成される可能性に焦点を当て、超自然的な力や能力について議論されます。これらの力についての知識とその使用方法が提供されますが、これらの力を追求することがヨガの本質から逸脱しないよう注意が必要です。

カイヴァルヤ・パーダ (Kaivalya Pada)(35節)

最終章では、絶対的な自己解放(カイヴァルヤ)について説明されます。この章では、ヨギが自己と宇宙の本質を理解し、すべての束縛から解放される状態を達成する方法が議論されます。ヨガの究極の目標に焦点が当てられます。

ヨガスートラは、ヨガの実践、哲学、精神的な成長に関する指針を提供し、ヨガ実践者や哲学者にとって重要なテキストとされています。

特に、ヨガのアシュタンガ・ヨガ(8つの要素の実践法)は、ヨガの基本的な教えとして広く受け入れられています。

ワードプレス奮闘記

数年前、ブログを始めた際にワードプレスを使用していました。わりときれいなページに作れて気に入っていました。

しかし、しばらく更新していなかったせいなのか何なのか、ある時ブログが跡形もなく消えてしまいました。それ以来、ワードプレス恐怖症とでもいいましょうか、避けていました。

ヨガ教室のホームページも、2011年から開始以来ずっとホームページの一般的なテンプレートを利用して作成し運営していました。

しかし、このところSEO対策というのが出来ていないせいか?検索してもホームページが表示されなくなってしまい。。。

いよいよワードプレスでホームページ作らないと…と重い腰をようやく持ち上げた次第です。しかし、ワードプレスが数年前と別物というくらいに進化していて、やれることもたくさんある代わりに、複雑で一瞬で挫折しそうになりました。でもここであきらめるわけにもいかないので、「いちばんやさしいWordpress入門教室」という本を購入し、悪戦苦闘(七転八倒?)何とかオープンすることができました。

わかりやすく作れていると良いのですが、日々改善していくつもりですが、何かアドバイスなどありましたらご連絡ください。

今後ともよろしくお願いします。