【第1回】「ホルモン周期と閉経の変化について」

テーマ:閉経に伴う女性の体のホルモン変化とその影響

女性の体は閉経に向かう過程で、ホルモンバランスが大きく変化します。この変化は、生理(月経)が不規則になり、最終的に閉経を迎えるまでの数年間にわたってゆっくりと進行します。この期間は「更年期」とも呼ばれ、体の内側でさまざまな変化が起きています。今回は、女性の体でどのようにホルモンが作用し、閉経期にどのような変化が現れるのかを解説します。

1. 女性のホルモン周期のしくみ

女性の体内で重要な働きをするホルモンは、エストロゲンとプロゲステロンという2つのホルモンです。これらは、視床下部、下垂体、そして卵巣の連携によって分泌されています。この3つの器官が一つのネットワークのように連携し、月経周期を調整しています。

1-1. ホルモンの分泌の流れ

• 視床下部

 脳にある視床下部は、女性の体に「次の準備をしなさい」と命令を出す指令塔です。視床下部は**GnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)**を分泌し、下垂体を刺激します。

• 下垂体

 視床下部の指令を受けた下垂体は、2つの重要なホルモンを分泌します。それが**FSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体形成ホルモン)**です。

• 卵巣

 FSHとLHが卵巣に働きかけることで、エストロゲンとプロゲステロンが分泌され、卵胞が成長します。

2. 月経周期の4つのフェーズ

女性の月経周期は平均28日間で、以下の4つのフェーズに分けられます。

① 月経期(1〜5日目)

 子宮内膜が剥がれ落ち、月経血として体外に排出される時期です。この期間は、ホルモンレベルが最も低い状態です。

② 卵胞期(6〜13日目)

 FSHの働きによって卵胞が成長し、エストロゲンの分泌量が増加します。このエストロゲンが子宮内膜を厚くし、受精卵が着床しやすい環境を整えます。

③ 排卵期(14日目前後)

 LHの急上昇によって、成熟した卵胞が卵巣から排出されます(これが排卵です)。この時期は妊娠しやすい期間でもあります。

④ 黄体期(15〜28日目)

 排卵後、卵胞の残りが黄体となり、プロゲステロンというホルモンを分泌します。このホルモンは子宮内膜を維持し、妊娠の準備をサポートします。しかし、妊娠が成立しない場合、黄体は退縮し、次の月経が始まります。

3. 閉経に伴うホルモンの変化

閉経が近づくと、卵巣の機能が低下し、ホルモンの分泌量が減少します。特にエストロゲンが減少することで、以下のような変化が現れます。

• 月経周期の乱れ

 閉経が近づくにつれ、月経周期が不規則になります。排卵が起こらない周期が増え、月経が飛ぶこともあります。

• エストロゲンの減少

 エストロゲンが減ると、体内のさまざまな器官に影響を与えます。骨密度が低下したり、ホットフラッシュ(顔や体が急に熱くなる症状)が起こったりするのも、このホルモンの減少が原因です。

まとめ

ホルモンは女性の体にとって重要な働きを担っています。月経周期は、視床下部、下垂体、卵巣の連携によって調整され、エストロゲンとプロゲステロンのバランスが女性の健康を支えています。しかし、閉経が近づくとこれらのホルモン分泌が減少し、体にさまざまな変化が起こります。

次回は、閉経期における身体的な変化に焦点を当て、骨密度や筋力、関節の変化について詳しく解説します。

『ヨガ・スートラ』第1章 第24節

「イーシュワラ(神)の純粋な本質」

サンスクリット原文

क्लेशकर्मविपाकाशयैरपरामृष्टः पुरुषविशेष ईश्वरः।

Kleśa-karma-vipāka-āśayair aparāmṛṣṭaḥ puruṣa-viśeṣa īśvaraḥ.

和訳

「イーシュワラ(神)は、煩悩(クレーシャ)、業(カルマ)、その結果(ヴィパーカ)、潜在的な欲望(アーシャヤ)に影響を受けることのない特別な存在である。」

第24節の概要

この節では、「イーシュワラ(Īśvara)」 という存在の本質について説明されています。

パタンジャリは、イーシュワラを**「ピュルシャ(Puruṣa)」の特別な形態と捉えています。ピュルシャとは、「純粋な意識」**を意味しますが、通常の人間は煩悩や業の影響を受けています。しかし、イーシュワラはこれらの影響から完全に自由な存在です。

イーシュワラの特徴は以下の通りです

1. 煩悩に影響されない

• イーシュワラは、私たちが抱える苦しみや煩悩(怒り、嫉妬、欲望など)から完全に解放された存在です。

2. 業(カルマ)の影響を受けない

• 行動の結果として現れるカルマの法則からも自由です。

• イーシュワラは過去の行動による影響を受けることなく、純粋な状態を保っています。

3. 結果(ヴィパーカ)に縛られない

• 人間は、自分の行動の結果に影響を受けますが、イーシュワラはそれに縛られません。

4. 潜在的な欲望(アーシャヤ)がない

• イーシュワラには潜在的な欲望が存在しません。完全に純粋な意識です。

イーシュワラと人間の違い

項目 人間(通常のピュルシャ) イーシュワラ(特別なピュルシャ)

煩悩(クレーシャ) 怒り、嫉妬、欲望などの煩悩に影響を受ける 煩悩の影響を受けない

業(カルマ) 過去の行動によるカルマの影響を受ける カルマの影響を受けない

結果(ヴィパーカ) 行動の結果に左右される 結果に縛られない

潜在的欲望(アーシャヤ) 潜在的な欲望や癖が心に残る 欲望がなく、純粋な意識のみ

実生活における解釈

この節は、「人間の心は煩悩や業に影響されるが、純粋な意識を目指すことで自由になれる」 というメッセージを伝えています。

ヨガの実践を通じて、私たちはイーシュワラのように心を浄化し、欲望や執着から解放されることを目指します。

実生活への応用:

• 執着を手放す

過去の行動の結果や、未来への期待に執着せず、今この瞬間を大切にします。

• 欲望をコントロールする

日々の生活で「自分の欲望や執着」がどのように行動に影響しているかを観察し、不要なものを手放していきます。

• 心の純粋さを目指す

瞑想やヨガの実践を通じて、心を落ち着かせ、純粋な意識に近づくことを目標とします。

まとめ

第24節は、「イーシュワラは煩悩やカルマの影響を受けない純粋な意識の象徴である」と教えています。

私たちも日々の実践を通じて、少しずつ煩悩を減らし、自由で純粋な心を目指していきましょう。

「執着を手放し、純粋な意識へと近づこう。」

『ヨガ・スートラ』第1章 第23節

「神(イーシュワラ)への献身による解脱の道」

サンスクリット原文

ईश्वरप्रणिधानाद्वा।

Īśvara-praṇidhānād vā.

和訳

「神(イーシュワラ)への献身によっても、悟りに至ることができる。」

第23節の概要

パタンジャリはこの節で、「イーシュワラ(Īśvara)」 という存在への献身が、解脱(モークシャ)に至るもう一つの道であることを述べています。ここでの「イーシュワラ」とは、特定の宗教的な神ではなく、「純粋な意識、至高の存在」 を指します。

修行者は、神聖な存在への信仰と献身を通じて、煩悩を手放し、悟りの境地に至ることができると説かれています。

イーシュワラ・プラニダーナ(Ishvara Pranidhana)とは?

「イーシュワラ・プラニダーナ」 とは、「至高の存在にすべてを委ねること」 を意味します。

この実践は、次のような心の姿勢を養います。

1. 謙虚さ

自分の力だけでなく、神聖な力を信じ、受け入れることで、心が軽くなります。

2. 自己を手放す

執着を捨て、自然の流れに身を任せることで、心が安定します。

3. 信仰と感謝の心

日々の出来事に感謝し、困難な状況でも前向きな心を保つ力がつきます。

イーシュワラ・プラニダーナの実践方法

• 瞑想の際に神聖な存在を思い描く

 瞑想時に、自分の心を神聖な存在に委ねるイメージを持ちます。

• 日常生活で感謝を意識する

 自然や人とのつながりに感謝し、すべてを受け入れる姿勢を持ちます。

• 結果に執着しない

 行動の結果に執着するのではなく、プロセスそのものを楽しむことで、心の平穏が得られます。

実生活における解釈

「イーシュワラ・プラニダーナ」の教えは、特定の宗教に縛られるものではありません。私たちの生活において、「大いなる流れに身を任せる姿勢」 が重要であることを伝えています。

実生活への応用

• 困難な状況に直面した時

自分一人で解決しようとせず、周囲のサポートや大いなる流れを信じることで、心が軽くなります。

• 結果にこだわりすぎない

仕事や人間関係において、努力の結果を気にしすぎず、自然の流れに任せることで、ストレスが減ります。

まとめ

第23節は、神聖な存在への信仰と献身を通じて、心を浄化し、悟りの境地に至ることを教えています。

「すべてを委ね、心を軽くして進む。」

私たちの努力とともに、大いなる存在を信じることで、ヨガの道がさらに豊かになるでしょう。

『ヨガ・スートラ』第1章 第22節 解説記事

「情熱の度合いによる解脱へのスピードの違い」

サンスクリット原文

मृदुमध्याधिमात्रत्वात्ततोऽपि विशेषः।

Mṛdu-madhyādhimātratvāt tato’pi viśeṣaḥ.

和訳

「修行者の情熱の強さが、穏やか、中程度、強烈に分かれるため、悟りに至るスピードにも違いがある。」

第22節の概要

パタンジャリはこの節で、**「情熱の強さが解脱への進展を左右する」**と述べています。

修行者は情熱の度合いによって次の3つのタイプに分かれると説明されています。

1. ムリドゥ(Mṛdu) – 穏やかな情熱

• 穏やかな情熱を持つ修行者は、ゆっくりとしたペースで進みます。

• 瞑想や修行の時間が限られている人がこれに当たります。

2. マディヤ(Madhya) – 中程度の情熱

• 中程度の情熱を持つ修行者は、バランスよく努力を続けます。

• 日常生活の中で、一定の時間をヨガに割き、継続的に修行を進めます。

3. アディマートラ(Adhimātra) – 強烈な情熱

• 強烈な情熱を持つ修行者は、全力で修行に取り組み、解脱へと急速に向かいます。

• 日々の生活のすべてをヨガの実践に捧げる人がこのタイプです。

修行のスピードの違い

このスートラは、解脱に至る道が修行者の情熱の強さによって異なることを強調しています。

タイプ 情熱の度合い 解脱に至るスピード

穏やかな情熱(ムリドゥ) 控えめ ゆっくり

中程度の情熱(マディヤ) バランスが取れている 普通

強烈な情熱(アディマートラ) 非常に強い 速い

現代的な解釈

この教えは、現代に生きる私たちにとっても大切なメッセージです。何かを達成するためのスピードは、その人の情熱と努力の強さに比例します。

実生活への応用

• ムリドゥ(穏やかな情熱)

小さな一歩から始める。無理せず、少しずつでも続けることが重要です。

• マディヤ(中程度の情熱)

バランスを保ちながら、日々のスケジュールにヨガを取り入れる。

• アディマートラ(強烈な情熱)

何かに本気で取り組む時、全力を尽くすことで目標達成が早まります。

まとめ

このスートラの教えは、「自分に合ったペースで進めばよい」という安心感を与えてくれます。

どのタイプの情熱でも、継続することで最終的に目標に到達するのです。

「どのペースでも、止まらずに歩み続けることが大切。」

ヨガの道は、一人ひとり異なるペースで進むものです。焦ることなく、着実に歩んでいきましょう。

『ヨガ・スートラ』第1章 第21節

「解脱は熱心な修行者により早く訪れる」

サンスクリット原文

तीव्रसंवेगानामासन्नः।

Tīvrasaṃvegānām āsannaḥ.

和訳

「強い情熱を持つ者にとって、悟りの境地は近づく。」

第21節の概要

この節では、**「ティーブラ・サンヴェーガ(Tīvra Saṃvega)」**という概念が示されています。これは、「強い情熱」や「切なる願い」を指します。パタンジャリは、解脱(モークシャ)のスピードは、修行者の情熱と努力の強さに大きく左右されると説いています。

つまり、**「本気でヨガの道を歩む者ほど、目標に早く到達する」**ということです。

ティーブラ・サンヴェーガ(強い情熱)とは?

「ティーブラ」とは「激しい、強烈な」という意味で、「サンヴェーガ」は「突進、勢い」を意味します。つまり、解脱の道を進む上で、次のような強い思いが必要だとされます。

• 「真理を探究したい」という強い願い

• 「苦しみから解放されたい」という切実な思い

• 「人生の目的を達成したい」という強い決意

この情熱があることで、修行の進展が早まるのです。

修行の進展の違い

この節は、修行者の情熱の強さによって解脱に至るスピードが異なることを示しています。

修行者タイプ 特徴 解脱までのスピード

強烈な情熱を持つ者 強い情熱と集中を持ち、継続的に努力する 早い

中程度の情熱を持つ者 間欠的に努力し、情熱に波がある 普通

弱い情熱を持つ者 モチベーションが低く、努力が継続しない 遅い

現代における応用

この節の教えは、日常生活でも応用できます。何かを達成するためには、強い情熱と継続的な努力が必要です。

実生活での例

• 仕事や趣味で成功したい時

目標に向かって情熱を持ち、努力を重ねることで成長が加速します。

• 人間関係

他者と良い関係を築きたいと思うなら、積極的な関わりと誠実な行動が必要です。

まとめ

第21節は、強い情熱と切なる願いが悟りの境地へと至る道を早めることを示しています。この教えは、人生のあらゆる場面で、成功や成長のために必要な姿勢として役立つでしょう。

「本気で取り組む者に、道は開かれる。」

『ヨガ・スートラ』第1章 第20節

「修行者が解脱に至るための5つの要素」

サンスクリット原文

श्रद्धावीर्यस्मृतिसमाधिप्रज्ञापूर्वक इतरेषाम्।

Śraddhā-vīrya-smṛti-samādhi-prajñā-pūrvaka itareṣām.

和訳

「その他の修行者たちは、信念(シュラッダー)、努力(ヴィーリヤ)、記憶(スムリティ)、サマーディ(集中)、そして叡智(プラジュニャ)によって解脱へと導かれる。」

第20節の概要

この節では、「解脱に至るために修行者が必要とする5つの重要な要素」について説明されています。これらの要素は、努力を通じて解脱を目指す一般の修行者に向けた教えです。

解脱への5つの要素

1. シュラッダー(Śraddhā)- 信念

修行者は、ヨガの道を信じる「揺るぎない信念」を持つことが必要です。

自分の成長を信じ、ヨガの教えが真実であると確信することで、困難な状況にも耐えられるようになります。

2. ヴィーリヤ(Vīrya)- 努力

精神的、肉体的な努力を惜しまず、継続的な実践を行うこと。

ヨガの修行には、忍耐強く、絶え間ない努力が必要です。

3. スムリティ(Smṛti)- 記憶・意識

自分の行動、思考、過去の経験を記憶し、それを修行の中で生かすこと。

自分の成長を意識的に振り返り、過ちを繰り返さないようにします。

4. サマーディ(Samādhi)- 集中

瞑想を通じて、心を一つの対象に集中させる能力。

集中力を高めることで、心が動揺することなく平静を保てるようになります。

5. プラジュニャ(Prajñā)- 叡智

瞑想と修行を通じて得られる深い理解と直感的な知識。

単なる知識ではなく、内面的な洞察を伴う智慧が重要です。

実生活における解釈

このスートラは、日常生活にも応用できる重要な教訓を含んでいます。解脱の境地は遠い目標に感じるかもしれませんが、これら5つの要素は、現代に生きる私たちの成長にも役立ちます。

実践のヒント

• 信念(シュラッダー):自分の成長を信じること。

• 努力(ヴィーリヤ):日々の課題に一歩ずつ取り組むこと。

• 記憶(スムリティ):自分の過去の経験を振り返り、学ぶ姿勢を持つこと。

• 集中(サマーディ):何かに集中する時間を意識的に作ること。

• 叡智(プラジュニャ):経験から知恵を得ること。

まとめ

第20節は、修行者が解脱に至るための実践的な指針を示しています。これら5つの要素を意識的に取り入れることで、ヨガの道においても、日常生活においても、心の平穏と成長を手に入れることができるでしょう。

「信念を持ち、努力を続け、内なる叡智を育てよう。」

【第2回】「閉経期の身体的変化とその影響」

テーマ:閉経に伴う骨密度、筋力、関節の変化について

閉経期に女性の体で起こる大きな変化のひとつが、骨、筋肉、関節に関する変化です。これらの変化は、加齢とともに誰にでも起こるものですが、エストロゲンの急激な減少がこれに拍車をかけます。今回は、閉経に伴う骨密度、筋力、関節の柔軟性の変化について詳しく解説します。

1. 骨密度の低下と骨粗しょう症のリスク

エストロゲンは、骨の健康を保つ上で重要なホルモンです。骨は常に新しい組織が作られ、古い組織が破壊される「骨のリモデリング」と呼ばれるプロセスを繰り返しています。このバランスを保つために、エストロゲンが欠かせません。

1-1. 骨密度の低下

閉経後、エストロゲンの分泌量が急激に減少すると、骨の形成速度が遅くなり、破壊される骨の量が増えます。その結果、骨密度が低下し、骨が脆くなります。これにより、骨粗しょう症のリスクが高まります。

1-2. 骨粗しょう症のリスク

骨粗しょう症とは、骨の密度と強度が低下して、骨折のリスクが大幅に高まる状態です。特に次の部位が骨折しやすくなります:

• 背骨(脊椎)

• 腰の骨(腰椎)

• 大腿骨

これらの部位が骨折すると、日常生活に大きな支障をきたします。転倒による骨折のリスクを減らすためにも、閉経後の骨密度の管理が重要です。

2. 筋力の低下と筋肉量の減少

閉経後、女性の筋力も低下します。これを**サルコペニア(加齢性筋肉減少症)**と呼びます。特に、下半身の筋力低下が顕著で、立ち上がる、歩くといった日常の動作に影響を与えます。

2-1. 筋力の低下が引き起こす影響

筋力が低下すると、次のような影響が見られます:

• 転倒のリスクが高まる

• 姿勢が悪くなる

• 日常生活の動作が困難になる

筋肉は、骨を支えるだけでなく、姿勢を保つのにも必要です。筋力が低下すると、膝や腰に負担がかかり、関節痛が生じることもあります。

3. 関節の柔軟性の低下と関節痛

エストロゲンは、関節の柔軟性を保つ役割も担っています。しかし、閉経後にエストロゲンが減少すると、関節の動きが硬くなり、痛みを感じるようになります。

3-1. 関節の変化が引き起こす影響

• 軟骨がすり減る

• 関節の動きが制限される

• 炎症が起きて痛みを伴う

特に膝、腰、手首などの関節に痛みが現れることが多く、これにより運動量が減少し、筋力がさらに低下するという悪循環に陥ることがあります。

4. 閉経後の骨、筋肉、関節を守るための方法

閉経後の骨密度、筋力、関節の柔軟性を維持するためには、次のような方法が効果的です。

4-1. 骨を強化する運動

• ウォーキング

• ヨガ

• 筋力トレーニング

骨は、適度な負荷をかけることで強くなります。定期的な運動を習慣にすることで、骨の健康を保つことができます。

4-2. 筋力を維持する栄養管理

• カルシウム

• ビタミンD

• タンパク質

これらの栄養素をしっかりと摂取することで、骨密度を維持し、筋力の低下を防ぐことができます。

まとめ

閉経に伴う身体的な変化として、骨密度の低下、筋力の減少、関節の柔軟性の低下が挙げられます。これらは年齢を重ねるにつれて誰にでも起こる自然な変化ですが、エストロゲンの減少によって進行が加速します。日常生活の中で、適度な運動と栄養管理を行うことで、これらの変化の進行を遅らせ、健康を維持することができます。

次回は、閉経後のホルモン補充療法(HRT)について詳しく解説します。

『ヨガ・スートラ』第1章 第19節

「生まれつきの解脱者と、努力を通じて解脱に至る者」

サンスクリット原文

भवप्रत्ययो विदेहप्रकृतिलयानाम्।

Bhava-pratyayo videha-prakṛtilayānām.

和訳

「肉体を持たない存在(ヴィデーハ)や、自然の根本原理(プラクリティ)に融合した存在(プラクリティラヤ)は、生まれつきの解脱者である。」

第19節の概要

この節では、2つの特別な存在について述べられています。これらの存在は、瞑想や修行によらず、自然のままに「解脱(モークシャ)」の状態に達していると説明されます。

• ヴィデーハ(Videha)

物質的な肉体を超越し、純粋な意識の状態にある存在。

彼らは肉体的な制約を受けず、すでに物質世界を超えた解脱状態にあります。

• プラクリティラヤ(Prakṛtilaya)

自然の根本原理である「プラクリティ」と一体化した存在。

彼らは物質的な欲望や煩悩を持たず、自然の根本要素に吸収されているため、苦しみから解放されています。

ヴィデーハとプラクリティラヤの違い

項目 ヴィデーハ(Videha) プラクリティラヤ(Prakṛtilaya)

意味 肉体を持たない存在 プラクリティに融合した存在

特徴 純粋な意識の状態 物質的な欲望を超越

解脱の方法 生まれつきの解脱者 自然の根本要素に吸収されることで解脱

この節が示す教え

パタンジャリはここで、「解脱に至る道にはさまざまなタイプがある」ことを示しています。

1. 生まれつき解脱している存在

• ヴィデーハやプラクリティラヤのように、特別な魂は修行の必要なく解脱に至っています。

• しかし、これらは例外的な存在であり、大多数の人は努力によってその境地を目指します。

2. 努力を必要とする一般の修行者

• 私たち普通の人々は、瞑想、プラーナーヤーマ、アサナ、倫理的実践(ヤマ・ニヤマ)を通じて心を浄化し、解脱の境地に至る道を歩みます。

この節の現代的な解釈

この節は、**「人それぞれ異なる道がある」**という多様性を受け入れるメッセージとも読めます。

現代社会においても、私たちはそれぞれ異なる背景、価値観、人生経験を持っています。それを理解し、自分に合ったペースで内なる成長を目指すことが大切です。

実生活への応用

• 他人と自分を比較するのではなく、自分の内なる旅に集中する。

• 短期間で成果を求めるのではなく、コツコツと積み重ねる修行を大切にする。

まとめ

第19節は、特別な存在と一般の修行者の違いを説明しながら、「ヨガの道は一人ひとり異なる」ということを示しています。すべての人が同じ方法で悟りに達するわけではありません。重要なのは、自分のペースで努力し続けることです。

「自分の道を信じ、歩み続けよう。」

新年のご挨拶

明けましておめでとうございます。

旧年中は、スタジオ・あさかヨガをご愛顧いただき、誠にありがとうございました。皆さまの温かいご支援とご参加のおかげで、教室はますます活気に満ちた場所となりました。

新しい一年が、皆さまにとって心身ともに健やかで幸せな一年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。本年も、皆さまがヨガを通じて自身の可能性を広げ、心地よい時間を過ごしていただけるよう、さまざまなクラスやイベントをご用意してお待ちしております。

引き続きスタジオ・あさかヨガをどうぞよろしくお願い申し上げます。

2025年も、皆さまとご一緒に充実した時間を共有できますことを楽しみにしております。

スタジオ・あさかヨガ

「ヨガ・スートラ」第1章第18節

「विरामप्रत्ययाभ्यासपूर्वः संस्कारशेषोऽन्यः।」

【ヴィラーマプラッティヤアビャーサプールヴァハ サンスカーラシェショ’ニャハ】

意味

「もう一つの瞑想(アサンプラジュニャータ・サマーディ)は、停止(ヴィラーマ)の意識を持ち、過去の印象(サンスカーラ)が微かに残る状態から始まる。」

解説

この節では、アサンプラジュニャータ・サマーディ(認識を超えた瞑想)の状態について述べられています。この瞑想は、サンプラジュニャータ・サマーディを超えた深い意識状態であり、次の特徴があります:

1. ヴィラーマ(停止)

心の動きが完全に止まり、すべての欲望や思考が静止した状態。

2. サンスカーラ(印象)

過去の経験や習慣が潜在的に残るが、それに執着しない。

3. 無認識の状態

対象や概念にとらわれることのない、純粋な静寂と解放の境地。

具体的な実践例

1. 深い瞑想の練習

• 呼吸や心の動きを観察し、すべての思考が自然に消えるまで待つ。

• 例:思考が浮かんでも反応せず、ただ静けさを維持する。

2. 過去の印象を手放す練習

• 瞑想中に浮かぶ記憶や感情を「過去の印象」として認識し、それに執着せず手放す。

• 例:「今ここ」に意識を戻すことで、サンスカーラの影響を減少させる。

3. 無の境地を目指す

• 思考や感情が完全に静まり、「何もない」という感覚を受け入れる。

• 例:瞑想中に「無」の感覚に気づき、それを深める。

まとめ

アサンプラジュニャータ・サマーディは、非常に高度な瞑想状態であり、心の完全な静止と解放を目指します。この状態では、すべての概念や欲望を超越し、純粋な意識だけが残ります。