テーマ:閉経に伴う女性の体のホルモン変化とその影響
女性の体は閉経に向かう過程で、ホルモンバランスが大きく変化します。この変化は、生理(月経)が不規則になり、最終的に閉経を迎えるまでの数年間にわたってゆっくりと進行します。この期間は「更年期」とも呼ばれ、体の内側でさまざまな変化が起きています。今回は、女性の体でどのようにホルモンが作用し、閉経期にどのような変化が現れるのかを解説します。
1. 女性のホルモン周期のしくみ
女性の体内で重要な働きをするホルモンは、エストロゲンとプロゲステロンという2つのホルモンです。これらは、視床下部、下垂体、そして卵巣の連携によって分泌されています。この3つの器官が一つのネットワークのように連携し、月経周期を調整しています。
1-1. ホルモンの分泌の流れ
• 視床下部
脳にある視床下部は、女性の体に「次の準備をしなさい」と命令を出す指令塔です。視床下部は**GnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)**を分泌し、下垂体を刺激します。
• 下垂体
視床下部の指令を受けた下垂体は、2つの重要なホルモンを分泌します。それが**FSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体形成ホルモン)**です。
• 卵巣
FSHとLHが卵巣に働きかけることで、エストロゲンとプロゲステロンが分泌され、卵胞が成長します。
2. 月経周期の4つのフェーズ
女性の月経周期は平均28日間で、以下の4つのフェーズに分けられます。
① 月経期(1〜5日目)
子宮内膜が剥がれ落ち、月経血として体外に排出される時期です。この期間は、ホルモンレベルが最も低い状態です。
② 卵胞期(6〜13日目)
FSHの働きによって卵胞が成長し、エストロゲンの分泌量が増加します。このエストロゲンが子宮内膜を厚くし、受精卵が着床しやすい環境を整えます。
③ 排卵期(14日目前後)
LHの急上昇によって、成熟した卵胞が卵巣から排出されます(これが排卵です)。この時期は妊娠しやすい期間でもあります。
④ 黄体期(15〜28日目)
排卵後、卵胞の残りが黄体となり、プロゲステロンというホルモンを分泌します。このホルモンは子宮内膜を維持し、妊娠の準備をサポートします。しかし、妊娠が成立しない場合、黄体は退縮し、次の月経が始まります。
3. 閉経に伴うホルモンの変化
閉経が近づくと、卵巣の機能が低下し、ホルモンの分泌量が減少します。特にエストロゲンが減少することで、以下のような変化が現れます。
• 月経周期の乱れ
閉経が近づくにつれ、月経周期が不規則になります。排卵が起こらない周期が増え、月経が飛ぶこともあります。
• エストロゲンの減少
エストロゲンが減ると、体内のさまざまな器官に影響を与えます。骨密度が低下したり、ホットフラッシュ(顔や体が急に熱くなる症状)が起こったりするのも、このホルモンの減少が原因です。
まとめ
ホルモンは女性の体にとって重要な働きを担っています。月経周期は、視床下部、下垂体、卵巣の連携によって調整され、エストロゲンとプロゲステロンのバランスが女性の健康を支えています。しかし、閉経が近づくとこれらのホルモン分泌が減少し、体にさまざまな変化が起こります。
次回は、閉経期における身体的な変化に焦点を当て、骨密度や筋力、関節の変化について詳しく解説します。