『ヨガ・スートラ』第1章 第23節

「神(イーシュワラ)への献身による解脱の道」

サンスクリット原文

ईश्वरप्रणिधानाद्वा।

Īśvara-praṇidhānād vā.

和訳

「神(イーシュワラ)への献身によっても、悟りに至ることができる。」

第23節の概要

パタンジャリはこの節で、「イーシュワラ(Īśvara)」 という存在への献身が、解脱(モークシャ)に至るもう一つの道であることを述べています。ここでの「イーシュワラ」とは、特定の宗教的な神ではなく、「純粋な意識、至高の存在」 を指します。

修行者は、神聖な存在への信仰と献身を通じて、煩悩を手放し、悟りの境地に至ることができると説かれています。

イーシュワラ・プラニダーナ(Ishvara Pranidhana)とは?

「イーシュワラ・プラニダーナ」 とは、「至高の存在にすべてを委ねること」 を意味します。

この実践は、次のような心の姿勢を養います。

1. 謙虚さ

自分の力だけでなく、神聖な力を信じ、受け入れることで、心が軽くなります。

2. 自己を手放す

執着を捨て、自然の流れに身を任せることで、心が安定します。

3. 信仰と感謝の心

日々の出来事に感謝し、困難な状況でも前向きな心を保つ力がつきます。

イーシュワラ・プラニダーナの実践方法

• 瞑想の際に神聖な存在を思い描く

 瞑想時に、自分の心を神聖な存在に委ねるイメージを持ちます。

• 日常生活で感謝を意識する

 自然や人とのつながりに感謝し、すべてを受け入れる姿勢を持ちます。

• 結果に執着しない

 行動の結果に執着するのではなく、プロセスそのものを楽しむことで、心の平穏が得られます。

実生活における解釈

「イーシュワラ・プラニダーナ」の教えは、特定の宗教に縛られるものではありません。私たちの生活において、「大いなる流れに身を任せる姿勢」 が重要であることを伝えています。

実生活への応用

• 困難な状況に直面した時

自分一人で解決しようとせず、周囲のサポートや大いなる流れを信じることで、心が軽くなります。

• 結果にこだわりすぎない

仕事や人間関係において、努力の結果を気にしすぎず、自然の流れに任せることで、ストレスが減ります。

まとめ

第23節は、神聖な存在への信仰と献身を通じて、心を浄化し、悟りの境地に至ることを教えています。

「すべてを委ね、心を軽くして進む。」

私たちの努力とともに、大いなる存在を信じることで、ヨガの道がさらに豊かになるでしょう。