かつて同潤会が分譲した閑静な住宅地。
美しい桜並木は当時住民達の自費によって植樹されたといいます。
西道路で敷地は1m程上がり母屋には3世帯が暮らしています。
隣接する北の住居が空家となりそれを解体しての計画です。
住まい手はアウトドアを楽しむ暮らし。
車、バイク、ロードバイクやクロスバイク
バスケットボール、スケートボード、スノーボード、フィッシング、BBQ、、、等
これらのギアのストックやメンテナンスそして在宅ワークの場となる小さな作業小屋とバスケットコート(スケボーパーク)を計画しました。
建物の解体作業を終える頃、北側・西側の隣家に動きが出ました。お庭のお手入れが始まったのです。
建物の解体により明るくて、風通しが良くなった事によりきっとウキウキしたのでしょう。そんな手入れの行き届いた緑をこちらは借景させて頂く事としました。
新たに建築するのは小さな平屋の為、隣家には日照や視線に影響はない計画となっています。
「空家活用」という言葉が騒がれています。空地を設ける事でその周囲の暮らしは格段に良好となります。周囲の住居も含めて豊かな暮らしを実現する一つの手法だと実感しました。
作業小屋構造材は栃木県産の杉材を使用しています。屋根は片流れの置き屋根として十分な屋根通気を確保し小屋室内の温度環境を整えています。軒はバスケットゴールに向かって登り勾配で大きく張り出しています。
これにより
・軒下からもシュートが打てます。
・夏、西陽のを遮り影をコートに落としています。
・道路側の軒が低く抑えられ良好な街並み景観となっています。
室内は床はコンクリートの土間、天井と壁は針葉樹の合板をビス止めとしているので壁・天井内部の点検等も容易に出来、棚やフックの増設は何処でも自由自在です。
小屋の屋根は連続してバイクや自転車の駐輪スペースとなっています。
大きな軒下空間は多様な利用ができるので暮らしを豊かにするには必須の設えと感じています。
そして大きな軒は暮らしのみならず建物を風雨から守り耐久性を高める事にもなっています。
外部の木部塗装は住まい手と設計者による自主施工としました。建設費用を抑えると共にセルフメンテナンスのきっかけにもなります。何よりも作業が楽しい!
新たに建てたこの作業小屋は母屋の別棟の付属建物としての扱いで建築確認・検査済証を得ています。これにより敷地全体が住宅地として扱われ土地の固定資産税が減免される事になります。地価の高いエリアでは有効な手法と考えています。日々の暮らしを楽しく豊かにして、出来るだけ出費を抑え近隣の生活環境も向上した計画となりました。
設計監理 スタジオ・あさか(同)
施工 (有)鈴木建設
鈴木義隆
棟梁 新井拓也
外構 増田左官工業
ペンダント照明:
デザイン・製作 久保潤一
作業テーブル:
デザイン 久保潤一
製作 新井拓也